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「ねえ、今年のクリスマスプレゼントはいらないから、その代わりに北の町に行って雪遊びがしたい。雪合戦とかソリ遊びとか」
奏多はさっそく家でお父さんとお母さんにお願いする。でも、お父さんもお母さんも、そんな奏多の願いに困り顔。
「北の町へなんて簡単には行けないでしょ。それにお父さんもお母さんも年末は仕事が忙しいんだし、年末の大掃除や買い物もある」
お母さんの言葉に、奏多は簡単に諦めない。
「ねえ、僕は雪を見たこともないし、遊んだこともないんだよ」
お父さんは困った顔のまま、そんな奏多にたずねる。
「お前、ロボットの犬が欲しいって言ってたじゃないか。それとも、サンタさんに雪遊びがしたいってお願いしたらどうだい?」
奏多は黙り込んでしまう。そりゃロボットの犬も欲しいけど……。
その夜、奏多はベッドに入ってもなかなか寝られない。
奏多の頭に浮かぶのは、真っ白な世界で遊ぶ自分自身の姿。真っ白な斜面をソリですべり、友達みんなで雪合戦する。足元の雪を手ですくい上げて白い玉を作り、それを思い切り敵へと投げる……。
雪! 雪! 雪! 雪への憧れが、奏多の眠気さえもかき消す。
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