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「地元のやつらとつるんでたほうが100倍マシだったぜ!ほら帰るぞ!!イライラする!」
「青木てめぇふざけんな!!」
加藤が青木に掴みかかった。
青木は猿のように叫びながら加藤の頬を殴りつける。
「ムカつかせんな俺をぉ!!イライラさせるなぁ!!」
青木は我を失ったように加藤の腹に蹴りを入れた。
見かねた佐々木が後ろから青木を羽交い絞めにする。
「こいつイカレてる!!おい蟻塚手を貸せ!!」
佐々木は両腕で青木を拘束しながら蟻塚に助けを求める。
だが当の蟻塚は1歩も動けなかった。
体が震える、息が震える。
顔が青ざめていくのが自分でも分かった。
呼吸も苦しくなる。
「蟻塚!聞いてんのか!?」
「う、う……うし」
「ああ!?牛!?」
「後ろ……」
その言葉を最後に蟻塚は背中から地面に倒れた。
意識が途切れて、何も感じなくなる。
「蟻塚!おい!!」
青木は喚き続ける。
味方がいなくなった佐々木はなんとか彼を押さえつけようと必死だった。
佐々木の背に悪寒が走る。
なぜだか分からない。
それでも佐々木は一瞬にして怯えてしまった。
確かな気配を、後ろから感じたのだ。
青木の動きが止まる。
そして糸が切れたように彼は地面に倒れた。
佐々木の体を震えが襲う。
彼は息を荒くしながら、涙を流しながら。
本当にゆっくりと振り返った。
「あ……あ……」
適切な語彙が口から出ない。
佐々木ははっきりとその眼で捉えてしまった。
自分たちが何をやったのか、今更気づいてしまった。
理解したときにはもう遅い。
佐々木は叫び声をあげて、その場で膝を崩した。
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