私は私を忘れて私になる

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「キョーカちゃん!」 後ろから叩かれた肩と声に振り向いた。 知らない男が立っている。 「やっぱり京華ちゃんだ!急にお店辞めるんだもん。」 子供っぽい笑顔と喋り方をする見た目40代後半の男。 「京華?誰かと間違えてるんじゃありません?」 私は知らない男にそう言うと颯爽と歩き始めた。 「あっ!ちょっと待ってよ、京華ちゃん!探したんだよー?やっと会えたのに。」 男は慌てて追いかけてきて、横に並びながら話しかけてくる。 私は前だけを見て、京華は昨日までのどこかに忘れてきた私の一つだろうと察した。 こんな事はこれが初めてじゃない。 どちらかと言うとこれが日常だ。 なぜなら、私は私を忘れてしまうから。
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