私は私を忘れて私になる

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隣で何か喚いているけど無視して歩いていると「ちょっと」と男の肩を掴む新たな男がそこにいた。 「な、な、なんだよ!今僕は京華ちゃんと…」 現れた新たな男は紳士然とした出で立ちだが、その目は鋭く掴んだ男を刺していた。 「こちらの女性が困っているようだから声をかけさせて貰ったまでだが。 いかがですか?」 新たな男は言葉遣いも紳士的に私に目線を移した。 さて新たな男が吉と出るか凶と出るか。 とりあえずこのお子ちゃま男を引き剥がしたくて、紳士的な男に乗ることにした。 「ええ…。」 少し弱々しく困った表情を浮かべて答える。 「やはり彼女はアナタに困っているようだ。ここは引いた方がアナタのためですよ。ほら、周りもアナタに注目している。」 紳士的な男がやんわりとお子ちゃま男をいなすと、「じゃあまたっ」とそそくさとどこかへ走って行った。 私は内心でため息をついて追い払ってくれたお礼をと紳士的な男に頭を下げた。 「どなたかは存じませんが助けて頂いて、ありがとうございました。」
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