SWEET PAIN : Twenty-Years-Old Boy ~ 二十歳の少年

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 N中学は、N町内にある四つの小学校出身者から持ち上がりの生徒で構成されていた。それで、僕のいた小学校の人間関係が多少薄まるにせよ、逆に言えば劇的に変わるわけでもなかった。  よって、小学校でいじめを受けていた生徒は、そのまま中学校でも標的になってしまう。あるいは、初めて会ったときに相手に与える印象で、例えば僕のような身体に力が入っていない、気の弱そうなタイプの人間は、いずれ誰かの餌食になるしかない草食動物と目されてしまうというのもあったのだと思う。  それでも最初の数か月は、同じ小学校にいたいじめっ子とは同じクラスにならなかったこともあり、友人らしい友人は隣のクラスにいるカズユキだけでそこから増えることはなかったが、いじめの標的になることもなかった。  ただ、そうこうしているうちにクラスを仕切るのが現れ、グループやヒエラルキーが形成されつつあったのだろう。  僕は、やはりそこで孤独で底辺の方へ追いやられていったことは今なら客観的にも見て取れるのだが、それよりも校則という厳しいルールを振りかざす教師や学校というシステムと、それに逆らい、自由気ままに校内外を闊歩するチンピラじみた不良グループが当時の僕には脅威であった。  そんな中で出会ったのが、不良グループのユウヤだった。  
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