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表舞台へ
リオは12歳。アネッサは10歳。アニーは8歳。アンナは6歳になっていた。
リオはこの年までに学業も他の裕福な家庭の子に追いつき、旦那様の仕事も理解し、執事の質問や、旦那様の相談にも、しっかりした答えを出せるようになっていた。
体つきも大きくなり、今では奥様に追いつくほど、身長も伸び、次の学期から、プレップスクールの全寮制であるボーディングスクールに少し遅まきながら入学することになった。
通常ならば10歳位までには入っておきたいところだったが、旦那様と奥様には計画があったのだ。
リオの学力であれば、そのまま中学校、高校への進学も可能であり、飛び級して卒業し、大学進学しても良いと、旦那様は思っていた。
この年、旦那様と奥様は初めて世間にこの4人の子供達を5年前に養子縁組したことを世間に明かし、社交界に公にすることと決めたのだった。
その手始めがリオのプレップスクールへの編入だった。
妹たちは少し寂しがったものの、旦那様にも奥様にももうすっかりなつき、まるで本当の親子の様に過ごしていたので心配はいらなかった。
奥様はリビングでのお茶会を少し前から始めてはいたが、この年からまた本格的に社交界へ戻っていった。
妹たちもこの年からは社交界に出ても恥ずかしくない身のこなしを身につける為に、お勉強も少し習い、ダンスの先生やお行儀の先生がつくことになった。
アネッサは奥様と一緒に刺繍をしたり、ピアノを教えていただいたりして、社交界のお話も少し聞かされていた。もとより、奥様とたくさんの時間を一緒に過ごすことによって、まるで元から良いところのお嬢様のように見える振る舞いが身についていた。
8歳のアニーと6歳のアンナもすっかりお嬢様らしくなり、少しお転婆にもなった。特にアンナは自分のお母さんの事を覚えていなかったので大きなお屋敷の奥様を自分のお母様だと思っていたし、自分の本当の家はここだと思っていた。兄妹たちはアンナの思っていることを特に直そうとも思わなかった。
旦那様も奥様もアンナにはそのまま隠しておきなさいと言われていたからだ。
リオ達兄妹は、お屋敷にきて2年目からは、旦那様をお父様。奥様をお母様と呼ぶように言われた。リオとアネッサはなかなか慣れることができなかったが、アニーとアンナは何の違和感もなくお父様お母さまと呼べるようになった。
リオとアネッサも二人が自分達兄妹にどんなに親切にして、とても心を砕いてくれるのを感じていたので、お屋敷にきて5年たった今では二人の事を本当のお父様、お母様と思い、呼べるようになった。
ただ、旦那様も奥様も、
「本当のお父様とお母様を忘れてはいけないよ。写真がないのは残念だが、いつも君たちの心の中にいるんだからね。」
と、言ってくれるのだった。
社交界で公になったので、これまでとは違って、食事も食堂の大きなテーブルですることになった。
さすがに兄弟の部屋の食卓では少し手狭になっていたところだったので丁度良かった。
パーティー用のテーブルとは違い、家族だけで囲むテーブルは少し小さめにできている。
そのテーブルでいつものように楽しく小さな声でその日の出来事を話しながらおいしい時間を過ごす6人は、もうどのメイドさん達から見ても本当の親子にしか見えなかった。
あのひもじかった生活の事はリオとアネッサ以外はもう覚えていない。リオとアネッサの記憶も段々と辛かった出来事を忘れていっていた。
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