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夢を叶える
一月経って女性が私を呼んだ。
「夢は決まりました?」
「はい!医者になりたいと思います」
「どうして?」
「助けを求める人を救いたいからです」
「できますか?」
「はい!やります」
「わかりました、医学部志望でいいのですね?」
「はい」
「合格したら医師になるまでの学費と生活費及び食費その他まとめて援助することを約束します。頑張って合格してください」
「条件はないのですか?」
「勿論あります。今聞きますか?」
「はい」
「私には今年9歳になる息子がいます、兄弟もなく親しい親族もいません、ですからあなたが医師になったら、息子の力になっていただきたいと思っています」
「私が医師になってからでいいのですか?」
「もちろんです、医師になるまではあなたは自分の事だけを考えればいいです。医師になったら息子の名前と私の素性をお教えします」
「わかりました」
その日から必死に勉強した、そして見事合格するとすぐに書類が届いた。
住まいの場所と契約済の書類と部屋の鍵、そして預金通帳とカードが入っていた。
預金通帳には別の通帳から毎月の生活費へが振り込まれることになっていた、生活に関わる必要経費は別の通帳から引き落とされるとある。
別の通帳も自分の名義だとあった、そこには医師になるまでのすべての費用がまとめて入金されているが、金額や詳しいことは知らされなかった。
私は大学の学費も生活費も小遣いも一切の心配をすることなく、アルバイトの必要もなく、ただひたすら学業に専念できた。
卒業しても「息子の相談相手になって」と言っていたあの人から連絡がくる事はなかった!
教会で2度面接をして僕の夢を叶えると言ってくれた人・・・・・
僕が無事卒業した事を知ってるはずなのに・・・・・
彼女にはその後一度も逢っていない、卒業して医師になっても彼女からは何の連絡も来なかった。
力になってほしいと言われた息子の名前すらわからず……お礼を言いたくても女性の素性すらわからなかった。
通帳への振り込みは医師になり自分で生活ができるようになると同時に終わった。
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