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僕の母
僕の母は僕が10歳の時ボランティアに行った帰り事故で亡くなった。
僕が小学4年生、その日学校から帰っていつものようにおやつを食べて母の帰りを待っていると、急に部屋の中が慌ただしくなった。
一体どうしたのだろうと思っている僕にお手伝いのおばさんが言った………
「坊ちゃん、すぐに病院へ行きましょ」
「どうしたの?」
僕の問いかけに何も答えてくれなかった、僕はお手伝いのおばさんと一緒にタクシーに乗って病院へ向かった。
病院には父と警察官と他にもたくさんの人がいた………その日は母亡くなった。
信号無視のトラックとの事故による即死だった。
母の顔は見せてもらえなかった………
母の実家は大きな商家で、両親はなく跡を継いだお兄さんも身体が弱く母が結婚してすぐに亡くなっていた。
母は両親の遺産を有効に使おうと教会のボランティアと恵まれない子供たちへの支援をしていた。
その帰りの事故だった………その日から仕事の忙しい父とはめったに顔を合わせることもなく、家に帰っても一人だった。
母がボランティアに熱心だったことを思い出して、僕も教会で子供たちの世話をする仕事を探した、幸いにも母が通っていた教会で仕事をすることが決まった。
教会には親のいない子や育児放棄された子供たちの施設も併設していて、母もここでお手伝いをしていた。
そのことは父には内緒だった、僕がそのことを知ったのは卒業して仕事を探しているときだった。
僕は母が亡くなってから、母を思い出したくなると母の部屋へ行って一人ぼんやり時間を過ごしていた。
その日なんとなく見た本棚に母の日記があった、その日記は厚手の本の裏に隠すように置かれていた。
母は僕が生まれる前からその教会で様々なお手伝いや金銭的な支援を必要とする子供たちへの援助をしていた。
その日記を見て僕も母と同じような仕事をしようと思った。
教会に問い合わせて面接を受けて仕事の条件や収入などが決まった。
僕は母の意思を引き継ぐことに決めた、僕の仕事を燎は喜んでくれるだろうか?
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