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休日の過ごし方
私は本当にバカだった………自分の勝手な勘違いで一聖に寂しい思いをさせていることに気が付かなかった。
今日は2人久しぶりに休みが重なって、朝食を済ませた後出かけることにした。
行先は水族館………22と30の男二人で水族館?
だが私たちはこれまでどちらもそうゆう場所へ行ったことがなかった、水族館も動物園も遊園地も全部、家族で行く場所だった。
私はもちろん一聖もそういうう意味で、そんな場所へ一緒に行くような家族はいない………母親が亡くなる9歳までは何度か行ったはずなのに、覚えていないと言った。
私はもちろんそんな場所へは近寄ることもなかった。
それならこれからは2人でこれまで行きたくても行けなかった場所へ行こうと決めた、そして先ず初めに行く場所が水族館と決まった。
電車に乗って水族館の最寄り駅まで行くと駅からすでに水族館の様相を呈している。
あちらこちらに魚のイラストがあり、クラゲやイルカが出迎えてくれて一気にテンションが上がってくる。
まるで弟の手を引く兄のように一聖と手をつないで水族館へと向かった。
チケットを購入して中へ入るとすぐに大きな水槽に囲まれた、周囲も天井も魚が泳ぎ、その中をひと際大きなジンベイザメが悠々と泳ぐ。
子供のように胸を躍らせ興奮する私たち、手をつないだままキョロキョロと見回し、向こうに怪しげな生き物がいると言ってはそっちへ走り、鍋物にしたら美味しそうなクエがいたと言ってはそちらへ走った。
子供よりはしゃぐ大人二人………狭いプールで芸をするイルカに同情して悲しい気持ちになり見るのをやめた。
大きな水槽の前に立ち泳ぐ魚たちに見とれながら、深い海の底に思いをはせた。
せっかくの水族館で囚われた魚たちの事を思って気持ちが沈んでいく………子供の用にはしゃぐ気持ちがすっかり萎えてしまったけど、気を取り直して館内のショップでイルカや魚のぬいぐるみを購入した。
大人になることで素直に水族館を楽しめなかったけど、久しぶりの外出は楽しかった。
帰りは居酒屋で少しだけお酒を飲み、食事をして帰った。
「燎楽しかったね」
「そうだな、これからもいろんなところへ行ってみよう」
「燎の子供の頃はどうだった?」
一聖には両親も兄弟もいないとだけ言ってあった、それ以上の詳しいことは何も言っていない………
「私は両親も知らないし、子供の頃と言われても大勢の子供たちと一緒に住んでたから、いつも賑やかだったな………賑やかだけど寂しかった」
「そうなんだ………でも今は僕がいるから、これからはずっと一緒だよ」
「アァ~そうだな」
一聖が自分のそばにいてくれさえすれば寂しくはない、そう思えた。
居てくれるだけでいい………他に何もいらない、一人だった自分のそばにいつも一聖がいる、そう思えるだけで幸せだった。
「一聖!お前から風呂入って、私はちょっと仕事が残ってるからそれ終わらせる」
「わかった」
私はパソコンで昨夜の急患の報告書の作成を始めた。
多重衝突による患者の搬送で負傷者は6人………特に重傷者はなかったものの6人全員が何らかの負傷をし、6人分の報告書の作成は結構時間を要した。
気づけば一聖は先にベッドに入っていた、仕事を済ませ風呂へ入ってベッドを覗く………一聖はすでに寝ているようだった。
きっと歩き回って疲れたのだろうと、起こさないようにそっとベッドに潜り込んだ。
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