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始めての朝
翌朝先に目が覚めた私は目の前で眠る一聖を見つめた!
これまで女すらまともに抱いたことのない私が、たがが外れたように激しく一聖を抱いた!
細くて華奢な一聖の身体を猛獣が獲物を食い尽くすように容赦なく蹂躙した!
これ迄自分の事を穏やかで、恋愛にも性行為にも淡白だと思っていたのに・・・・・ゆうべの自分は我ながら信じられないくらい、一聖を求めて止められなかった!
男同士の行為など私も一聖も始めてだったのに・・・・・特に一聖にとって身体の負担はどれ程だったろう!
年上の自分が我を忘れて一聖を貪った・・・・・穏やかに眠る一聖の顔を撫でてそっとキスをした!
「一聖ごめん」
呟いた私に一聖が薄く目を開けた…………
「遼」
「起きてた?」
「ごめんってなに?」
「いや・・・・・もっと優しくするつもりだったのに・・・・・大丈夫か?」
「かなり激しかったね」
「悪かった・・・・・自分でもびっくりしてる」
「遼!男の人とするの慣れてる?」
「まさか、始めてだよ」
「僕が始めて?」
「アァーあんなに激しかったのも始めてだ」
「僕だから?」
「アァー可愛くて我慢できなかった」
「遼!僕嬉しかったよ、あんなに激しく抱いてくれて」
「ばか!そんなこと言うとまたやりたくなるからやめろ」
「遼は今日は仕事だよね」
「今夜は夜勤だ」
「遼まだ時間あるね」
「だめだ、起きるぞ」
「りょう・・・・・まだ眠い」
「だったら、寝てろ」
これ以上そばにいたらまた手を出しそうになってベッドから抜け出した、一聖が追いかけて起きてくる。
洗面所で二人並んで歯磨きをして顔を洗う………一聖がずっと私の顔を見ていた。
「なんだ?珍しい顔か?」
「カッコいいな燎って………ゆうべ僕はこの人に抱かれたんだって………見てたんだ」
臆面もなくそんなことを言う一聖が愛おしくて、このままずっと側にいたくなる。
今夜は夜勤だから一聖は朝まで一人だ、これまでだって何度もあったのに、今はそれが不安で仕方がない。
この部屋で一人夜を過ごす一聖………そばにいてやりたくて一緒に住んだのに、忙しい仕事はそれを許してくれない。
「一聖!今夜は一人だけど大丈夫か?」
「大丈夫だよ!いまさら何言ってるの?初めてじゃあるまいし………心配してる?」
「お前を一人にしたくない」
「何処へも行かないよ、燎が帰って来るのを待ってる」
「でも、俺が帰る時間にはお前は仕事に出た後だろ?」
「そうだね、だったら僕が帰って来るのを燎が待っててよ」
「………あぁ」
「昨日までは平気だったくせに………俺の事放したくなくなった?」
「あぁ………離れるのが嫌になった」
一聖が笑っている、これまで夜勤だろうが残業だろうが帰れない日も何度もあったのに………今は仕事だから仕方がないと思っても離れたくないと思う自分がいた。
一聖を膝に抱いて向き合う、少し上から私を見る一聖、私の首に両手をまわして顔を近づけてキスをねだる。
身体に回した腕で自分の方へ引き寄せキスをする。
「燎!もう時間だよ」
「うんわかってる」
出かける時間になるまでずっと抱きしめていたいくらい、好きが止まらない。
仕方なく一聖を膝から降ろして立ち上がった瞬間、業務用の携帯が鳴った。
「どうした?」
「工場で爆発があって10数人が運ばれてきます」
「分かったすぐ行く、場所を広く開けて準備しろ!トリアージをする事になるからそのつもりでいるように」
喋りながら歩きだし部屋を後にした。
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