一聖に逢いたい

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一聖に逢いたい

一聖の父親が帰ってもう一度一聖と出会った時の事を思い出していた、骨折をして痛む足を必死で我慢しながら私の手を掴んだ一聖。 あの時あの手を振り払わなくてよかった………一聖にとって頼れる存在など誰もいなかったのだろう、怪我をしたことさえ知らない父親………入院したことも知らずそのことを後から知らされても驚くことも心配することもなく、自分の立場ばかりを考える父親………一聖にとってこれまでの人生は決して温かなものではなかったと思えた。 私がそばにいてずっとお前を守ってやる。 帰って来るかもわからない一聖………あの父親に少しでも親らしい気持ちがあって息子の想いを分かってくれたら………帰って来る。 少しでも気持ちを落ち着けようと、食材を探して冷蔵庫を開けた。 昨夜から何も口にしていない、すでに昼を過ぎて少しは何か食べようと冷蔵庫を開けたが中は何も入っていなかった。 そういえば昨日仕事が終わったら買い物をして帰るからと、メモに書いてあったことを思い出す。 仕事の帰りに買い物はしたのだろうか?マンションの前で拉致されて実家へ連れ戻されたのであれば、今頃買った食材はどうしただろう? 何を作るつもりで買い物をしたのだろう………今はそんなことを考えている場合ではないのに……… 一聖早く帰って来い。 お前が帰って来るまで私は何も口にしないで待っている………私を飢えさせたくなかったら早く帰って来い。 一聖……… 一聖が帰ったらもう一度あの華奢な身体を抱きしめたい、思いっきり強く抱いてもう2度と何処へも行かないように縛り付けておきたいと思った。 愛しい一聖!初めて抱いた一聖の身体を思い出していた。 身体中に口づけの跡を残し熱い身体の中に埋もれてしまいたかった。 逢いたくて逢いたくてたまらない感情が溢れ出した………
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