ずっとお前と

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ずっとお前と

お互いの身体を支え合って玄関のドアを開けて中に入る、靴を脱ぐのももどかしくお互いの身体を抱きしめあった。 夢にまで見た瞬間が現実になった喜び………嬉しくて一聖の匂いを胸いっぱい吸い込んだ。 「燎ごめんね」 「逢いたかった、もう逢えないかと思ったてた………一聖…………もうどこにも行くな」 「うん、何処にもいかないずっと一緒に居る」 リビングへ来て隣り合ってソファに座る。 何があったのか燎にすべて聞いてほしかった。 昨日仕事が終わって買い物をしてマンションの前まで来たところで、二人の男に車に押し込まれ実家へ連れ戻された。 久しぶりに見た父親が冷たい表情で自分を見ていた。 開口一番放たれた言葉・・・・・「勝手なことは許さん、元のマンションへ帰る気がないなら実家へ戻れ」そう言った。 これまで一度も干渉しなかった父がどうして今になってそんなことを言ったのか? 自分には何の関心もなく無視されていると思っていたが、それは思い違いだった。 気がついて見ればずっと父親の手の平で放置されていただけだった。 これまで何も言われなかったのは、父の気に触ることがなかったから・・・・・燎といることを知って黙っていられず口を出してきたのだ…… 男と同棲など許さない………そう言った。 絶望と怒りと悔しさ………理解なんてしなくていい早く燎のそばへ帰りたかった。 朝になって父が出かけたことを知った、きっと燎に逢いに行ったのだと思った。 父は遼になんて言うつもりだろう、別れろと言われたら遼はどう答えるのだろう・・・・・ 遼のことは信じていても、父が何を言い出すか分からない・・・・・ 僕のためだと言われたら、遼は・・・・・ 帰って来た父は僕の怪我の事を知らなかったと言った、2か月の間入院したこともいつ退院したかも燎から聞いていた………息子の事を知らな過ぎたと、無関心だったわけではないと言い訳をした。 僕の気持ちを素直に聞くと言われて、母親が亡くなってからの事、ずっと一人で寂しかったこと、すべてを打ち明けた。 そして今やっと心安らぐ相手ができて幸せだと言った………それを聞いて父が言った。 全てを捨ててもあいつがいいのか?と………答えは決まっている。 僕は彼以外何もいらないと言った………それを聞いてやっと僕の気持ちを分かってくれた。 始めて夕食を共にしてマンションの前まで送ってくれた。 僕は今日始めてあの人を父親だと感じた。 僕の話を聞いていた燎が僕の顔を覗き込んで言った。 「一聖それでいいのか?ほんとうに俺以外何も無くなっていいのか?」 「うん、何もいらない燎さえいれば」 「一聖」 「僕ずっと燎といる」 「わかった、これからはずっと一緒だ」 燎がどれほど心配したか顔を見てすぐに分かった、ずっと眠らず待っていたのだろう、何の連絡もなく何処へ行ったのかもわからず、探すことも聞くことも出来ない苛立ち………その気持ちを考えると堪らない気持ちになった。 もう2度と心配させない………僕はどこへも行かない!
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