312人が本棚に入れています
本棚に追加
退院の日
みんなにとっては嬉しい退院の日……でも俺にとっては先生に逢えなくなる日。
その日先生は来なかった……そう言えば朝からヘリの音が聞こえていた。
出動して留守だったのかも……先生にメールをした、初めてのメール。
【成瀬先生、今日退院します。時間できたら退院祝いをしてください】
10時に父の秘書の人が来て手続きをしてマンションまで送ってくれた。
お昼はデリを頼んであるからって言われた……病院と同じ一人での食事。
先生と食べたハンバーガーが美味しかったな、また一緒に食べたい。
届いたデリバリーの昼食を食べた。
病室よりもっと広い空間……寒々とした部屋でやりたいこともやらなきゃいけないことも何もない……
大きな窓から外の景色を眺める……
スマホが鳴った……窓から急いでテーブルへ行く。
先生からの返信だった……嬉しくてたまらなくて泣きそうになった。
【退院おめでとう!今夜お祝いしようか?】
【ありがとう、仕事終わったらメールして】
何回もメールを読んだ、先生から返事が来たことが嬉しくて嬉しくてたまらない。
【20時ごろには終わる……何もなければ】
【待ってる……何時でもいいから必ずメールして】
先生と逢える……そう思うだけで嬉しかった。
8時まで……どうしよう?何しよう?何着ていこう?ずっとドキドキが止まらない……
さっきまでのどんよりした気持ちも、不味かったデリも全部が変わった!
先生からのメールで僕の世界が輝きだした!
最初のコメントを投稿しよう!