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緊急出動
東南総合病院に緊急出動要請があったのは午後7時半。
現場はスキー場、すぐに救急医療用ヘリコプターで現場へ向かった。
患者はスキー中に転倒し救護室に運ばれていた、見るとスキーウェアに血が滲んでいる、
転倒時に切ったのだろうと患部を確認すると、折れた骨が露出し皮膚を突き破っていた。
脛骨の「開放骨折」だと診断、整形外科に救急搬送しなければならない、通常、骨折の場合は、骨を元の位置に戻す「整復」を行い、固定をしていくが「開放骨折」の場合は、絶対に骨を元に戻してはいけない。
体外に骨が露出した瞬間に、骨は空気中の細菌に感染してしまう。
骨は、細菌に非常に弱く、重篤な感染をすると場合によっては骨髄炎などの感染症、合併症を引き起こし、最悪の場合は切断をしなければならないという恐れもある。
そのため、感染したものを体内に入れないように、骨を元に戻してはいけないのだ。
患者は大学4年22歳
氏名……一ノ瀬 一聖
ドクターヘリには、心電図モニター、生体情報モニター、医療用除細動器、血圧計、超音波(エコー)検査装置、血液中の酸素量を測るパルスオキシメーターなどの医療機器のほか、酸素ボンベ、カテーテル、シリンジなどの医療器具、医薬品などが搭載されている。
現地にてドクターヘリに搭載されている医療機器を使用して、フライトナースと共に、外科的治療などの救急治療を実施するのが任務だ、必要な治療を行った後、該当する専門科へ引き渡す。
機内で一ノ瀬 一聖は俺の手を掴んで離さなかった。
「先生……迷惑かけてすみません」
「気にしなくていい、すぐに病院へ着くからそれまで我慢しろ」
「はい…先生の名前教えてください」
「成瀬だ、もうしゃべるな。体力を消耗する」
40分ほどで病院へ到着、すぐにヘリから詳しい検査をするために移動、骨折部位の評価には、局所のX線撮影(レントゲン写真)やCT検査が行われ、超音波検査や全身のX線撮影、MRIなどの画像検査によって、骨折部位以外に損傷がないかどうかも確認する。
私の仕事は整形外科へと引き継がれた。
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