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……なのに。
夏……、青空、海。世間が青く染まるころ。
不正出血があった。
慌てて産婦人科に駆け込んだけど。
――子宮外妊娠による自然流産。それが、診断結果だった。
私の未来が。孝太郎さんとの愛の結晶が。お空に帰ってしまった……。
どれだけ泣いたことだろう。
身体中の水分が枯れ果てて、しわしわのお婆ちゃんになるんじゃないかっていうくらい泣いたのに。
それを知った孝太郎さんは。
まるでホッとしたような顔をして。
「……プロポーズはなかったことにしてくれ」
それだけを言ったのだ。
……孝太郎さん、なんでそんな安心した顔をするの?
残念だったね、でも次も頑張ろうね、っていうところじゃないの?
なんでそんな……薄情なの?私のこと、好きじゃないの?孝太郎さんはロマンス漫画のヒーローなんでしょう?
私の顔は、青く染まった。
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