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12月になった。
耳が痛いほどキンと凍り付いた空気。クリスマスも終わって一息ついた、その人通りの多い道を。
……血のついたナイフを握りしめて、歩いていた。
私を見た通行人たちが悲鳴を上げる。
……ふふ、ふふっ。やっちゃった。
でもしょうがないわよね。社長令嬢だけにしようと思ったのに、孝太郎さんが庇うのが悪いのよ。
手に握りしめたナイフに――冷え切った赤い血に、雪が触れる。白雪は、さっと赤く染め上げられた。
……ああ、綺麗。
私は空を見上げた。
重そうな灰色の雪雲から降ってくる雪。
私は立ち止まって両腕を開き、雪を受け入れた。
雪よ、雪よ。降っておいで。私が染めてあげる。
身体のあちこちに飛び散った返り血が、あなたを赤くしてあげる。
だから、そのおかえしに、私を……。
白く、染めて。
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