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その頃、都心から少し離れた中古マンションの一室に住む坂本俊也は、薄暗い奥の六帖でベッドに座り、漫然と窓外を見ていた。
やがて彼は、テーブルにあった小ビンを手にすると、錠剤を一気に十錠ほど手に出して飲み、静かに横になった。
すると部屋の暗さが、坂本の横に集まりだし、真っ黒な物体となった。
やがてその物体は、人のカタチになっていった。
眠ったようになっている坂本の口から、霊体が抜け出してきた。
つまり彼は、死にかけているのだった‥‥。
そんな時、枕本のスマホが鳴った。
相手は無論、加東和夫だった。
真っ黒な物体は、その霊体に向かって風を吹いた。
坂本の体を離れようとしていた霊体は、空中で止まった。
依然とスマホのコールは、続いていた。
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