今は遠くても

4/5

11人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
あれから何年…経つ? たまに連絡を取ったりしているが 会ってないに等しい 一は今、世界陸上でリレーのアンカーをする 画面の中のアイツは、あの時の赤いハチマキをしてる アイツは必ず入場する時 あの赤いハチマキをしながら入ってくる そしていつの頃からか刺繍を握って入場するようになっていた そんな姿が見たくてバックステージにテレビを持ち込んだ 「エモン、ラストの洋服なんだけど…」 針子のトップが声をかけて来る 「ん?…ああ、どうした?」 「陸上?日本勝ち上がっているのね」 日本人が決勝にいるのは奇跡としか言いようがないって感じのニュアンスで驚いてる声だ 「奇跡じゃないよ…アイツは努力の塊なんだよ」 ポツリ呟くが切り替えて 「あ、何?どうした?」 「ああ、スカートの後ろのラインに………」 さあ、オレ達 同じ日に、同じ時刻に 世界一になる事が出来そうだ そうしたら オレが先に言うんだ 元気な一か好きだ お前の笑顔が好きだ どこにいてもわかる オレのモデルで一生一緒にいて欲しい オレ達、赤いハチマキで結ばれているから 「さあ!エモンコレクション開幕するからね。 皆、気合い入れて!! 一と同じ日に世界一になるよ!!」 最後は、オレのただの願望だな そしてあの時、一に作ったスーツと同じスーツを着て世界に立つ ようやく世界一 アイツとようやく顔を会わせるだろう 多分、あのグラウンドだろう オレが被服室にいると アイツの元気な声が聞こえた あの場所で再開になるだろう 君が好きだ やっと言える言葉になるだろう ~Fin~
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加