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「何の前触れもなく知らない場所に連れてかれるって、怖すぎるな。俺もなるかもしれないじゃん……」
「眞哉……」
今日初めて眞哉と心が通じたのを感じて、嬉しさがこみ上げてきた。
やっぱり持つべきものは親友。俺を理解し、気持ちに寄り添ってくれる友なのだ。
まあ、その感覚をリアルに想像するくらいに、もうすっかり話のとりこになっているのには、ちょっと笑っちゃったけど。
「そうなんだよ。正直何がきっかけで転移して、そして戻ってきたのか、全くわからないんだよね。数学の問題集だって、アコが洗濯しちゃって、ちょうど干しに行ってる間に急に転移が始まったから、手元になくて持って帰れなかったわけで……」
「そうか、問題集は洗濯されたか……」
「『泥で汚れてたから洗ったら、ちょっと溶けました』っててへぺろされたな……」
「布の類だと思われたんだな……」
そのまま、なんとなく沈黙が続いた。
さっきの恐怖で眞哉のテンションは下がってしまったらしい。
俺は野菜ジュースを飲んで、気持ちを切り替えた。
「まぁ、こうして戻ってこれたし、面白い経験できたし、結果オーライだな!」
「そうだな、なかなか興味深い話だったよ。……で、モテ展開は?」
「俺にあるわけないだろ、そんなもん!」
笑顔でそう伝えると、目の前の眞哉も晴れやかな笑顔になった。
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