1 異世界

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「何の前触れもなく知らない場所に連れてかれるって、怖すぎるな。俺もなるかもしれないじゃん……」 「眞哉……」  今日初めて眞哉と心が通じたのを感じて、嬉しさがこみ上げてきた。  やっぱり持つべきものは親友。俺を理解し、気持ちに寄り添ってくれる友なのだ。  まあ、その感覚をリアルに想像するくらいに、もうすっかり話のとりこになっているのには、ちょっと笑っちゃったけど。 「そうなんだよ。正直何がきっかけで転移して、そして戻ってきたのか、全くわからないんだよね。数学の問題集だって、アコが洗濯しちゃって、ちょうど干しに行ってる間に急に転移が始まったから、手元になくて持って帰れなかったわけで……」 「そうか、問題集は洗濯されたか……」 「『泥で汚れてたから洗ったら、ちょっと溶けました』っててへぺろされたな……」 「布の類だと思われたんだな……」  そのまま、なんとなく沈黙が続いた。  さっきの恐怖で眞哉のテンションは下がってしまったらしい。  俺は野菜ジュースを飲んで、気持ちを切り替えた。 「まぁ、こうして戻ってこれたし、面白い経験できたし、結果オーライだな!」 「そうだな、なかなか興味深い話だったよ。……で、モテ展開は?」 「俺にあるわけないだろ、そんなもん!」  笑顔でそう伝えると、目の前の眞哉も晴れやかな笑顔になった。
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