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「わざわざこっちの世界まで届けに来てくれたのか……?」
「間に合ってよかったです~」
俺は問題集を受け取り、嬉しそうにニコニコしているアコを呆然と見つめた。
「あれ? かいとさん、なんか見た目変わってませんか?」
アコは不思議そうに首を傾げながら俺を見上げる。
「だろうな、俺もう社会人だからね」
「しゃかいじん?」
「あれからもう、7年経ってんの! 問題集もう学校に持っていかなくていいの!」
「ええー!!」
どうやらアコはあの後すぐに俺を追いかけたらしいが、転移先がズレてしまったようで、こうして今の――24歳の俺の元へと来てしまったらしい。
さすが、大事な時に失敗する癖はあの頃のままだ。いや、実際これはあの頃のアコなのか。
「でもどうやってここに来たんだ? 俺自身もどうして転移したのかわからずじまいだったのに……」
「えっと……、うふふ、もう終わったことだし、いいですよね?」
「え?」
「実は、かいとさんがわたしの世界に来たのは、わたしがまじないで呼び出したからなんです。代わりに生贄になってくれる美女を呼ぼうと思ったら、失敗してさほどかっこよくもない男の子が来ちゃって……。結果的に生贄を代わってくれたから、わたしは助かったしそのままでもよかったんだけど、やっぱり神様に申し訳ないじゃないですかぁ。だからやり直そうと思って逃がしに行ったら、逃がせなくて、まあいいかって」
「おい、お前そんな奴だったのか」
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