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「地質オタクが現れて、『さ、さっきのぷれゑとの話、もっと詳しく聞かせてくださいッ……!』って興味津々な顔で前のめりに」
「そいつ邪魔だな~。美少女いなかったのかよ」
「もう日が沈むから続きは明日にしようってなって、俺は逃げないように木に縛り付けられて、月明かりの下で正面に正座するオタクに延々地震の仕組みについて解説した」
「あ~、何も盛り上がらねぇしつまんねー!」
「でもそのオタクがかわいい女の子で」
「いや情報のタイミングおかしい」
気づけば眞哉はすっかり俺の話に引き込まれていた。
まんまと夢中になった彼に、俺は続きをありのままに話した。
その地質オタクの子は村の偉い人の12番目くらいの子供で、俺が話した地震の仕組みと今後の予想と対策を父親に伝えてくれた。すると、「そいつの嘘を暴くためにも経過を見てみよう」ということになり、生贄までの執行猶予ができた。
それでいったん縄を解かれて、ある程度の自由を許された俺は、生贄にされる人の無念や恨みを村人たちに怪談風の語りで言い聞かせて周った。
そして古代の人の墓の中には生贄代わりの人形が入れられているという話をし、アワの藁で藁人形みたいなやつを作ってみせて「これを捧げた方が神様は喜ぶ。人の死骸は気味が悪いけど、これならお人形遊びができるだろう」と懇々と諭し続けた。
生贄にされる恐怖から解放されることを、村人たちも心の底では望んでいたのだろう。次第に俺の話に乗っかる人が増えていき、最終的には人間サイズの藁人形ができて、村人たちはそれを恭しく神様に捧げた。
地震も次第に収まっていき、村には再び平和が訪れたのだった。
「なんだよ~。マジでつまんねぇな。いかにもお前の頭から生み出された感じだわ」
「いや、俺の頭関係ないって! 行った先がたまたまそうだったんだから!」
「せめてキャラ変してくれよ。ありのままのお前過ぎて何の夢も希望もねえじゃん」
「お前いつから異世界に希望持ってたんだよ。だいたい、俺は異世界に転生したんじゃなくて、行ってきただけなんだから、俺自身の設定が変わるわけないじゃん」
「じゃあ、当然ながらモテ展開もなかったんだな?」
「モテ展開はある」
「そこ踏襲しようとされると逆にムカつくな」
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