二日目

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 震える手でデスクの引き出しにビニール袋を押し込む。 (一体誰がこんなことを?)  自宅のメールボックスを開けられた。職場もバレている。そして何より私が標的となっているという事実に全身が粟立っていく。  定時で退勤した私は、ビニールをつまんでパスケースをショルダーバッグに押し込むと駅を目指した。  こんなものを2度も家に持ち帰りたくはなかった。関わらずに済むのであればそれに越したことはない。  緑のJRという看板の横に「お忘れ物承り所」という大きな文字を見つけてホッとする。 (昨日からの経緯を考えれば、駅員に渡しただけではまた手元に舞い戻ってくるおそれがある。センターに預けて適正に処理してもらえば、私のところへ戻ってくることもないだろう)  そう思ったら気持ちが楽になった。
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