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一通り書類を作成して開放されると、私は軽やかな足取りで遺失物センターを出た。憑き物が落ちたような晴れ晴れとした気分だ。
「どこかで晩御飯でも食べて行っちゃおうかな?」
私はご機嫌で駅ビルに入っているパスタ屋に入った。
赤ワインで体をあたため、ほろ酔いのままバスに揺られて帰宅する。
「ああ、いい気分!」
その幸せはメールボックスを開けた瞬間に脆くも崩れ去った。
「なんでここにあるのよ……」
ビニールに包まれたパスケースには、クリーム色の付箋が貼り付けられている。
「お忘れ物ですよ?」
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