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因果応報
後日、大手週刊誌が『霧島ひかり』の記事をすっぱ抜いた。
『エリート商社マンの娘! 殺人の末、違法薬剤過剰摂取で死亡か!?』
「一流商社に勤務する霧島ひかり容疑者(23)の部屋で、清掃会社のパート社員水島律子さん(53)の遺体が発見された。
水島さんの死因は頭を強く打ったことによる脳挫傷と判明。同じ部屋で霧島容疑者が倒れており、搬送先の病院で死亡が確認された。解剖の結果、霧島容疑者の死因は違法薬物の過剰摂取と見られる」
「何だこの記事は!」
出版社に乗り込んで苦言を呈しているのは霧島ひかりの父親だった。
「名誉毀損で訴えてやる!」
机を叩いて怒鳴り散らす霧島に担当編集者は毅然と立ち向かう。
「5年前、お嬢さんがクラスメイトを自殺に追い込んだときもそのように脅してマスコミを黙らせたのですか?」
「なっ!」
机を挟んで向かいに座る霧島は青い顔をして腰を浮かせた。
「亡くなった水島律子さんから、5年前に行われたいじめの詳細と『今から霧島ひかりさんの家に行って謝罪を要求する』って言う声明文が事件当日の消印でうちに届いてるんですよ」
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