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「そんな怪しげなものを信じて大見得を切ると痛い目に遭うぞ!」
「警察に照合してもらいましたが、筆跡も指紋も、亡くなった水島さんのものに間違いはないとのことでした」
形勢逆転とばかりに記者は霧島を問い詰める。
「うちが先に記事を出したんで、警察も情報公開せざるを得なくなってるんですよ。公共機関の情報隠蔽はネットで叩かれますからねぇ」
記者はわずかに声を落とした。
「ところで娘さんはいつから薬を使ってたんです? 同僚からも『ここ最近の霧島ひかりさんは、ものすごくハイだった』と言質を取っていますよ」
「だから何かの間違いだ! 根も葉もない噂を撒き散らすんじゃない!」
「火のないところに煙は立たないっていうでしょ? 部屋で致死量以上の薬を水に解いて飲むなんて、薬キメてなかったらできないですよ」
「おい、推測で記事を書くなよ? 本気で訴えるぞ!」
「そもそもお嬢さんのスマホに薬のバイヤーの番号が登録されていたそうじゃないですか。もう言い逃れは無理ですよ」
「貴様……!」
「携帯のメモには遺書も残っていたそうですね。『天国に行って唯に謝ってきます』って! 殺人鬼が天国に行けるとでも思ってるんですかね?」
畳み掛ける記者の質問に、霧島は真っ青な顔で唇を噛んだ。
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