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――そりゃ、まぁ、たしかにすごいよ、あの人は。
自分と違って、小器用になんでもこなすし、目立つ役割を担うこともためらわない。誰もが認める、完璧な優等生。でも――。
――へぇ、すごいな。
――身内じゃないから、勝手なこと言えるだけなんだろうけど。準、やろうって決めたことは投げ出さないだろ? すぐにできるのか、時間がかかるのかはわかんないけど、ふつうに成功しそう。
毒のように脳内を侵していた声が、あたたかい声音に上書きされていく。
思い出したそれに、ふっと準平は苦笑をもらした。
「本当、変わんないな、篤生くん」
お節介でごめん、と本人もよく言っているし、実際、お節介だとは思う。
そこまで気にしてくれなくてもいいのに、と思うこともある。けれど、そういった部分に救われていたことは事実なのだ。
あの人は、昔から、自分の努力を認めて、褒めてくれる。けれど、だからこそ、さすがにここで甘えるわけにはいかない。
――頼まなかったらよかったってわかってるんだけど、でも、できなかったんだよな。
小さく息を吐いて、準平は返信を打ち込んだ。
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