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……それに、いつまでもこのままにしとくわけにもいかないし。
自分の調子どうのこうのということはさておいても、このまま関係がまた遠くなることは嫌だった。もう繰り返したくはないし、自分もあのころのような子どもではないつもりだ。
あの人には、同じような子どもに見えているかもしれないけれど。
『今週は金曜日、行ってもいい?』
半分勢いで、メッセージを送信する。返事が来るまでには時間がかかるだろうから、と。アプリを閉じようとした瞬間に既読がついた。
思わず「え」と小さな声がもれる。
――あ、そっか。昼休みか、今。
そう納得しているあいだに届いた返事に、準平はもう一度同じ声をこぼした。
『ごめん、来てくれるのはすごいうれしいんだけど。ちょっと風邪気味で。金曜までに治ってる自信ないから、来週でもいい?』
風邪気味。文面をじっと見つめる。いや、まぁ、そういうこともあるのかもしれないけど。
言葉にしきれない違和感を感じたまま、わかった、と準平はメッセージを返した。来週ならいいと言ってくれているのだから、拒絶されているわけではない。そう言い聞かせる。
『でも、大丈夫?』
『大丈夫。ごめんな、心配させて。たいしたことないんだけど、移しても悪いから』
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