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「俺、オフのときはオーラとかぜんぜんないみたいで、あんまり気づかれないんだけど。それでも声かけられるときもあるから、よかったよ」
本当は、まだこの場所でふたりになりたくなかったのだけれど、わがままの言える立場でもない。
そう請け負った準平に、にこ、と篤生がほほえむ。
「すごいけど、大変だな」
「まぁ、本当、しかたないんだけどね」
「うん。それでも」
穏やかに相槌を打った篤生が、さっきの話だけど、と静かに切り出した。
「本当に、準のせいじゃないんだよ」
「でも……」
「仮に、準とのケアプレイで影響があったんだとしても。俺が専門家として引き受けてたことなんだから、準のせいじゃない。俺の責任で、俺の問題」
穏やかながらもきっぱりと言い切られて、でも、という反論を呑み込む。
篤生の言っていることは、わからなくはない。そう思う。けれど、対価を払って医療機関で受けているわけでもなんでもなかったことだ。
おまけに、一番影響を与えただろう件は、どう考えても自分のせいだとしか思えなかった。
「……でも」
一度呑んだはずの反論を、準平は口にした。まっすぐに彼の目を見て伝える。
「最後にここで会ったときは、プレイですらなかったよね。俺が……」
自分の感情をコントロールできなくて、圧をぶつけた。Domとして、絶対にやってはいけなかったことで、簡単に許してはいけないこと。
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