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「まぁ、そういうことだから。管理してんならいいけど、連絡しといてやれよ。心配ばっかりかけてないで」
「はぁ」
心配。母親だろうか。
――でも、事務所に連絡なんて入れるか?
いや、しないか。想像がつかなかったので、準平はそう思い切った。菅原のことなので、適当な思いつき、あるいは、思い込みである可能性のほうが高そうだ。
釈然としなかったものの、もう話は終わったというふうに菅原は離れていったので、待っていても無駄だろう。まぁ、いいか、と気持ちを切り替えて、お疲れさまでした、と挨拶を残してスタジオを出る。
外は、もうすっかり真冬の寒さだった。
篤生と再会したころは、まだ日中は蒸し暑いくらいだったのに、なんだかあっというまに冬になったな、と思う。
――まぁ、でも、たしかに最近ぜんぜん家に連絡入れてなかったな。
就職活動はしない、モデルに専念する、という話をしてからというもの、小言が増えたので、余計に遠のいていたのだ。
菅原に言われたからではないけれど、年末に帰省するのかということも含めて、一度連絡を入れたほうがいいんだろうな。
面倒だな、と準平はそっと息を吐いた。
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