12.自覚

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「とにかく、そういうことだから。病院にも行くって言ってるし、俺がしなくても大丈夫」 「おまえさぁ」 「ん?」 「Subとして相手してたんだろ? その自分の望み言ったことある?」  予想外の問いかけに、思わず言葉に詰まってしまった。取り繕うように曖昧にほほえむ。 「え? いや、でも、その……あくまでもケアだったから」 「だったら、そういう物足りなそうな顔すんなよ。さすがに気の毒」  物足りなそうな顔。自分が、そんな顔を本当にしているのだろうか。わからなくて、もう一度曖昧に首をひねる。 「そんなつもりないんだけど。俺、そもそも、そんなに欲求強いタイプじゃないし」 「強くなくても、ないわけじゃないだろ」 「それは、まぁ、そうだけど……」 「尽くしたい、んだろ」  ずばりと当てられて、篤生は口を噤んだ。その反応に構うことなく、影浦が続ける。 「当て付けがましく、俺がいなくても、とか、俺がしなくても、ばっかり言ってたら、当てが外れたんだろうなって、そら思うわ」 「……そんなつもりはなかったんだけど」  同じ台詞を選んで、困ったふうな笑みを刻む。当てが外れた、とまでは本当に思っていないつもりだ。だって、準平にとって、病院に行くことは良いことなのだから。  それを認めないなんてこと、あっていいはずがない。
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