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4.酒は飲んでも吞まれるな
人間、予想外が過ぎるできごとに遭遇すると思考が本当にフリーズするらしい。
と、いうことを、現在進行形で篤生は思い知っていた。
「……」
端的に言って、途中から昨日の夜の記憶がない。これで目が覚めた場所が自分の家でなかったら、もっと呆然としているところだった。
ベッドの上で上体を起こしたまま、握りしめていたスマートフォンに目を落とす。6時54分。平日にかけている50分のアラームで文字通り飛び起きてから、どうやら五分近くフリーズしていたらしい。
呑みすぎたのか、頭が重い。こめかみを押さえようとしたところで、今度は五十五分に設定しているアラームが鳴り始めた。慌てて停止させて、視線をそっと横に移す。
アラームが二度鳴ろうが起きる気配のない寝顔にいろんな意味でほっとして、篤生はようやく息を吐いた。
――というか、なんで、俺、準と一緒に寝てんだろ。
一緒に呑んでいた相手だし、幼いころは一緒に寝ていたこともある相手だ。問題はないのかもしれないが、自分の性癖を承知しているだけに、帰ってきたあたりの記憶が抜けている事実が、とんでもなく恐ろしい。
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