6.秘密

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 ――そういえば、言ってたな、一夏。  準平のDomの数値は、信じられないほど高いらしい、と。 「――くん?」  その声に、はっとして顔を上げる。覗き込んでくる瞳と間近で目が合って、篤生は固まった。準平だ。でも、Domだ。 「大丈夫じゃないよね、顔、真っ青だけど。……ちょっと座ったら?」  ぎこちなく気遣う調子で、準平が篤生の指をコップから外していく。それだけで、なんの他意もない。わかっているのに震えが止まらなくて、ごめん、と篤生は振り絞った。  顔を見ることもできないまま、どうにか言葉を続ける。 「ごめん、準のそれ、ちょっと今はきつい」 「……篤生くんって、Subなの?」  少し驚いたような反応だった。自分のことをNormalだと思っていたのだろうか。兄である一夏と同じように。  本当は、Switchだ。でも、なんとなく言えなくて、小さく頷く。だって、今の自分はそうなのだ。  あの夏の日。はじめてSubを意識したときから、自分の中のスイッチはSubに振り切れ続けている。 「でも、兄貴は……」 「それでも、篤生は俺がいいんだって」  割って入った声に、うつむいていた顔を上げる。 「一夏」  準平に聞かせるような話ではないと思ったからだ。制止のつもりでかけた声に、なぜか一夏がにこりと笑う。
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