6.秘密

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 自分たちのやりとりをどんな顔で準平は見ていたのだろう。確認することが恐ろしくて、一夏を見たまま、篤生は続けた。 「そんな言い方しなくても」 「そんな言い方って、なに?」  控えめに嗜めただけだったのに、一夏の声音の奥が険しくなる。腕を掴んでいた手に力がこもったことがわかると、ぐっと心が重くなった。  余計なことだと知っている。でも、弟に対する一夏の態度は年々きつくなっていて、放っておけなかったのだ。  一夏のことは好きだ。ただ、それとは別の次元で、篤生は準平のことが好きだし、かわいかった。 「だって、……っ」  かわいそうだろ、と言おうとした台詞は言葉にならなかった。 「篤生?」  訝しげな呼びかけに応えることもできなくて、目の前の身体に縋る。止まったはずの震えが、また生じはじめていた。  その反応で理由を察したらしい一夏が、あぁと頷く。 「ごめんな、準平。兄ちゃんNormalだから。おまえにどれだけ威圧されても、ぜんぜんなにも感じないの」  でも、と。宥めるように自分の背中を撫でながら、笑う。 「俺のSubがきつそうだから、やめてやってくれる?」
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