6.秘密

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 好きだったのだ、本当に。  物心ついたころからずっと一緒で、十七年の人生のほとんどを同じ空間で過ごしていて、幼馴染みとしての好きが、片思いの好きにいつ変わったのかわからないくらい、ずっと。  でも――。 「……もう、いい」  こぼれ落ちた言葉に、はっとする。撤回しようとして、けれど、できないまま篤生はうつむいた。しないほうがいいのかもしれない、と思ってしまったからだ。  だって、一夏がこんなふうになったのは、きっと自分のせいだ。 「篤生」  しかたないな、というような、優しい声だった。好きだった、一夏の声。  視線を合わせるように、一夏がしゃがみ込む。伸びてきた手が両の頬を包み込むように触れて、うつむいていた顔を持ち上げた。  薄い涙の膜が張っていた視界が、一夏の顔でいっぱいになる。 「やめんの?」  その顔で、その声で、どこか寂しそうに乞われて。拒絶なんて、できるわけがなかった。ふるりとかすかに頭を振る。
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