7.変わりゆくもの

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 ――今すぐ代わったほうがいいって雰囲気ではないけど。  大丈夫かな、と注視を続ける。  ごくたまに、ではあるけれど、窓口で揉めることはあるのだ。 「大丈夫ですか、あれ」 「うん。無理そうだったらすぐに――」  代わるから、と続けるつもりだった台詞が、喉の途中で消える。野沢に訝しげに呼ばれても、声が出なかった。  ――やば、これ。  たいしたDomじゃないのに。自分に向けて発せられているものでもないのに、なぜか声が出なかった。  焦れば焦るほど息苦しくなりそうで、落ち着け、と必死で言い聞かせる。  あれは自分に害を成すDomではないし、それに――。  ――一夏じゃない。  あれは一夏じゃない。 「たまには俺が代わるわ」  ガタンと音を立てて、影浦が立ち上がる。その音に、はっとして篤生は息を吐いた。 「空いてる面談室に移動させてくる。あれ以上、興奮させてもあれだし」 「そうですよ、たまには影浦さんがやったらいいと思います。いっつも秋原さんばっかり代わってますもん」 「だから代わるって言ってるだろうが。――すみません、ちょっと向こうで話しましょうか」  自分以上に強いダイナミクスを持つDomだとわかったのか、来館者の声から勢いが一気に抜けていく。  ほっとした様子の美園と一緒に移動していくのを見送って、野沢に気がつかれないよう、篤生は静かに深呼吸を繰り返した。  いまさらながら心臓がバクバクと鳴っていることを自覚して、どうしようもない嫌悪が募る。
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