ある豆の独白

　いいか、よく聞けよ？実はな、俺ら、あのルイ１４世にめっちゃ好まれていたんだぜ？ふはは。どうだ、凄いだろ？あの有名なルイ１４世だぞ？王様だぞ？世界遺産の宮殿を建てた人だぞ？
　俺らを食べすぎたせいで消化不良を起こしたらしいぞ？王子たちは４日も俺らのことを話題にしていたらしいぜ？

　ふははは。どうだ、参ったか。

　いいか、俺を好んで食べるということは、ルイ１４世と同じ舌を持つということ。つまり、ルイ１４世と同じ感性を持つといっても過言ではないっ。
　……なんだよ、「それは流石に過言だ」って？そ、そんなこと、ある訳、ない、だろ……。

　ご、ごほん。……、誤魔化してないからな。
　と、とにかく、どうだ？俺らのこと少しは見直しただろう？

　は？まだ駄目？それは個人の好みであって、たまたまルイ１４世がグリンピースを好んでいただけで、お前らの好き嫌いを覆す訳にはならないって？そもそも現代の有名人にグリンピースが苦手な人が大量にいるって？
　……俺は何も聞かなかったことにしよう。

　ルイ１４世が俺らを好んでいた事実は変わらないからな！ふはははは！
　本当に、本当だからな！信じろよ！
　……俺の自尊心の９割はこれで支えられているからな。否定すんなよ！ポッキリ逝くぞ。精神が。
　あ？グリンピースの精神なんて、誰も気にしないって？そもそも俺らに精神があるのかって？気にしろよ！大切にしろ！食べ物一つ一つまで。そんなんだから、食品ロスという問題が起こるんだよっ。人間めっ。

　……ふっ、こうなったら奥の手だ。