プロローグ

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「え、橋元…?」  教室に入ると橋元が学級文庫を漁っているところだった。 「あ、森。やほ。」  と振り向いて橋元は、くしゃっと笑った。 「学級文庫見てどうしたの?」  決して、俺が手紙をもらってきたことを表情に出さないように。絶対笑われる。 「んー。森を待ってたの。」 「…え?」  ちょっと待ってどういうこと。なんで待ってたの。テニス部ミーティングだから帰ったんじゃないの。あっという間に分からないことが増殖して行く。 「めっちゃ変な顔してるじゃん」  そしてまたくしゃっと笑った。 「…なんで待ってたんだよ。」  何もかも分からない。テニス部ミーティングで帰ったんじゃないのか、全部聞きたかった。    …あの手紙は橋元が入れたのか?  時計に目をやるとなんなら今が5時半ぴったり。けど、朝は一緒に来てるし、そんなはずはない。  俺が考え込んでいると、橋元が口を開いた。  橋元の少し意気込んだような呼吸音が聞こえるー。 「あの手紙。俺が入れたよ。」
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