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「私、ここから見る夕陽が好きなんだ。」
そう言って振り返るキミの姿を今でも覚えている。
── 初めてのドライブデート。最後に、キミがリクエストした場所。小高い丘から見渡す先には海が見えた。夕刻が近づき地平線に向かって太陽が沈みかける瞬間、辺りがオレンジ色に染まった。
「キレイ…。」
しばらくの間、オレンジ色の夕陽に心奪われていたキミ。そんなキミの姿を見つめていた僕のほうを振り返りキミが言った。
「私、ここから見る夕陽が好きなんだ。」
──数年後
僕はキミの為にあの時デートした小高い丘に家を建てた。キミの大好きなオレンジ色の夕陽がいつでも見れるように。
──「私、ここから見る夕陽が好きなんだ。」
あの日、そう言って振り返ったキミの頬がほんのり赤く染まっていたのを僕は忘れない。
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