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「あなたたちのお名前は?」
「アイです」
「アオです」
その人は、にっこり笑いました。
「私はイロハ姫よ。秋になったので、葉っぱを秋の色に染めているのよ」
「葉っぱを染めるの?」
「どうやって染めるの?」
「私がこの画用紙に色を塗ると、葉っぱはみんなその色に染まるのよ」
アイとアオがのぞき込んでみると、いつの間にか、絵の中にはちゃんとアイとアオもいるのでした。
公園の真ん中のポプラの木は半分くらいが緑色で、残りの半分くらいが赤や黄色や焦げ茶色に塗られています。それは本当の葉っぱの色とそっくりでした。
「お姉さんが色をぬったの?」
「そうしたら色が変わったの?」
イロハ姫はにっこりわらいました。
「そうよ、これからどんどん葉っぱたちは色を変えていくからとても忙しくなるの」
そう言ってイロハ姫が赤い絵の具のついた筆の先で画用紙にちょっと触れると、おやおや……さっきまで緑だったポプラの木のてっぺんの葉が赤くかわったのです。
「うわあ」
「きれい」
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