恋心

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12月初旬の金曜日。 冬の日差しが窓を照らしている。 (あったかい……) 昼休みの休憩室で、私は半分眠りながら、同僚たちのお喋りを聞いた。 「夏目(なつめ)さんはクリスマスの予定、決まってるの?」 「えっ……」 顔を上げると、皆の視線が私に注がれていた。声をかけてきたのは安田さん。彼女は販売部の女性社員5名のうち最年長のリーダーである。 「ええと……」 確か、クリスマスの予定について訊かれたような。 寝ぼけた頭で考えていると、隣に座る同期の美樹(みき)が肘で突いてきた。テキトーに返事しなさい――という、いつもの合図である。 「特に、予定はないです」 てきとうというか、事実なのでそう答えるよりほかない。 今年で24歳になる私だが、クリスマスは毎年、デートやパーティーなど華やかなイベントとは無縁で過ごしている。 就職するまでは実家に住んでいたので、家族みんなでちょっといいレストランに行くのが楽しみだった。でもそれは、安田さんの言う「予定」には当てはまらないだろう。
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