雪の小京都

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「僕は最初から、夏目さんを可愛い人だと思ってたんです。だから、名古屋城の公園で、雨宿りするあなたを見つけたあの日、すぐに声をかけていました。そして、スマホを失くしてがっかりしたり、見つかって喜んだりする、感情豊かな姿を見て、すごく惹かれました。あれほど胸が高鳴るなんて、驚きです」 「わ、私も、あの日をきっかけに、掛井さんを意識し始めたんです。それからはもう、会うたびに好きになっていくというか……」 「……」 掛井さんが唇を結び、そっと視線をはずした。困ったような、嬉しいような、複雑な表情だけど、明らかに動揺している。掛井さんこそ、可愛い……! 「私の気持ち、バレてたんですね」 「バレるというか、ちゃんと伝わってましたよ。言葉にしなくても……いや、でもやっぱり言葉の力は凄いですね」 私に目を戻し、じっと見つめてきた。 「掛井さんの目力も凄いですよ」 「そ、そうかな」 微笑み合い、どちらからともなく手を重ねた。 窓の外は降り積もる雪。 私たちはしばらくそうして、互いの温もりを感じていた。
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