恋心

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「ああ、夏目さん、サンキュー。さてと、楓屋さんの新商品、いただきまーす」 お茶が来るまで待っていたようだ。安田さんが小箱の蓋を開けて、和菓子を食べ始めた。 「掛井さん。よろしければ、お茶をどうぞ」 テーブルの端で控えめに座る彼に、お茶をすすめた。 「あっ、すみません。ありがとうございます」 目をくるっとさせて礼を言う。彼がかわいい男性であることを再認識して、私は心の中で身悶えした。 「で、なんだっけ。そうそう、掛井さんがクリスマスにどうするかって話。ねえ、どうやって過ごすの?」 安田さんは執拗だった。そこまでプライベートを聞いてもいいのだろうかとハラハラした。もちろん、彼のプライベートに興味はあるけれど。 「そうですねえ。午前中は部屋の大掃除をして、午後はドライブに行くくらいかなあ」 ドライブ。 彼の言葉に、私はハッと顔を上げた。 「へえ、そんな趣味があったんだ」 「お休みの日は、結構、あちこちに出かけるんですよ。車が好きですし」 素晴らしい趣味だ。私は嬉しくなり、彼のハンドルを切る仕草を、まじまじと見つめた。 「ふふん、私も車にはちょっとうるさいわよ。どんな車に乗ってんの?」 「ステーションワゴンです」 「はあ?」 安田さんが突然、けらけらと笑いだした。 私もみんなも、何が可笑しいのか分からず、反応のしようがない。
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