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民俗学部の部長、星宮月渚が部室に入ると、1年の高橋ピヨ子が壁に体当たりしていた。
「テレポテーションの練習をしています」
「文庫から新しい写真が撮れたと連絡があった」
「壁の向こうが見えました」
「もうすぐだな」
「お花畑が微かに見えます」
「意識を保て」
「文庫さんの写真て、これですよね?」
ピヨ子がLINEを開く。
「昨日、死んだお父さんの霊を呼び出して撮影したそうです」
「人魂か」
「オマケとして怪談も付いてマスよ?」
文庫瑠璃の不思議な話し。
「火葬場のオーブ」
父が死んだ時、火葬場で話し込みました。
「熱い。」
「仕方ないでしょ?燃やされてるんだから」
「死んじゃったよ、瑠璃」
「父さんの好きな上杉謙信と同じように厠で倒れて死んだんだから良いじゃない」
「うん、ちょっと頼み事があるの。トイレに行くから人魂になって。写真撮るから」
「あいよ」
「さっき葬儀屋に聞いたえら、火葬場の防犯カメラに人魂が写る事って良くあるらしいの。私も撮影してみたい」
「トイレの手前の廊下な?女子トイレには入れないから」
「撮ります」
それが、その写真だ。
「インパクトが足りないわね。もっと工夫が欲しい」
「これで、どうだ?」
「うん、ちくわみたいでキレイ。ありがと」
了
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