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「招待してくれる?」
「うん! 屋上はね、マドレが育ててる花もあるの。ホレさんには負けるけど、マドレの花もきれいだよ。時々ね、マドレとピクニックするんだよ」
「マドレって?」
「マドレはマドレだよ。それよりさ、次は屋上で会おうよ」
「いいの?」
「うん。絶対来て」
シラユキは驚くほど饒舌だ。でも、車の中で感じたような違和感はない。今みたいにキラキラしたまっすぐなまなざしこそが本来の彼女なのだと重尾には思えた。
重尾の頭に「マドレ」という名前が刻まれた。『ブランカ・ニエベス』の住人だろうか。
「マドレって、お友達?」
「友達、、、ていうか、お母さん。」
「お母さんなんだ」
「うん。マドレって日本語でお母さんって意味なんだよ。リュウセイが教えてくれたんだ。でも、ほんとはママじゃないんだよ。育ててくれた人」
リュウセイ。それも住人だろうか重尾は花屋の店先で感じた憎悪の視線を思い出した。
「ユキちゃんは、マドレとリュウセイといっしょに暮してるの?」
「う、うん。そうだよ」
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