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そういいながら中田はもう一度今日の日付をメモ用紙に記入して桐島に見せた。似ているのか似ていないのか、桐島には分らなくなってしまった。
桐島はがっくりと肩を落とした。
「これは、何か大切なものなんですか?」
「わかりません。ただ、大変なことが起きた場所で拾ったんです」
「たいへんなこと・・・先日の、気の毒な事件ですか?」
「・・・はい」
ふたは、中田の手にある。中田はふたの内側をさりげなくぬぐった。
「学校もたいへんだったでしょう。雑誌では、いじめがあったなんて書かれてましたね」
「ええ。でも僕は、あれが本当に自殺だったのか、分からなくなっています」
「どういうことですか」
「確かにあの子はみんなの目の前で窓から飛び降りました。でもそれが山田サラの意思だったのか、僕にはわからないんです」
「・・・どういうことでしょう」
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