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「桐島さん。私でよければお預かりしましょうか。うちの機械で何か分析ができるかもしれません」
桐島は顔を上げた。
「いいんですか」
「はい。古い機械なんで、結果が出せるかどうかは分かりませんが」
桐島は考え込むような表情をした。
「いえ。大丈夫です。このことに興味を持ってくれてる人がいるんです。頼んでみようかと思います。ありがとうございます」
「それはよかった。警察の方?」
「ええ」
「・・・なるほど」
中田は改めて書類に日付と署名をいれ、手元にあったふたを桐島に返却した。筆跡は、ふたに貼られたシールと似ているとも似ていないとも桐島には判別できなかった。
重尾に頼めば、筆跡鑑定にかけてもらえるかもしれないと桐島は期待していた。中田とは何度か仕事をしたことがある。物腰の柔らかい誠実な印象の人だ。しかし、気が付かないうちに巻き込まれているのかもしれない。
それがわかれば協力してもらえるだろう。
「桐島さんは、今から学校に戻られるんですか?」
「はい。フラワーフェスティバルに向けた準備があります。今日はありがとうございました」
「どういたしまして」
桐島を見送った後、中田はスマホをかけた
「リュウセイくん。落とし物、してただろ」
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