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プランターの一つ一つがずっしりと重い。ホレさん気合入ってんなあ。なんたって外国からのお客様だもんなあ、などと思いながら、トラックの荷台に積んで、
「お預かりしまーす」
と、濱井は湯府総合高校に向かった。トラックが走り去る様子を、作業小屋の中からホレは見送っていた。窓辺のテーブルではもう一人、ハーブティを飲む人の姿があった。マドレだ。
「あの濱井って子はよく働くわね。見てて気持ちがいいわ。あたしのことは怖がってるけど」
「いい子だね・・・なあ、あんた、本当にやるのか」
「ええ。こんな機会は二度とないでしょ。」
「うまくいくだろうか?」
「リュウセイが言ってたわ。この国の人たちは、高校生の善意を疑わないって。うまくいくわよ」
「いろんな人が巻き込まれるぞ」
「そうね・・・・
どんな人も、自分の都合だけでは生きられないものよ。いつだって何かに巻き込まれてる。巻き込まれ方がまずかったら死ぬ。ただそれだけよ。あたしたちだってそうだったじゃない。ちがう?」
「ああ・・・そうだったな」
「あなたなんかまだいいほうよ。正規の難民として受け入れてもらえたんだもの。こうやって日の当たるところでお仕事できるなんてラッキーよ」
「わかってる。いつまでもお日様を拝めるなんて思っていないよ」
「お茶、もう一杯いただける?」
ホレは、ティーサーバーに残ったお茶をマドレのカップに注いだ。
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