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やっと高橋さんが来てくれて、大瀧は解放された。取調室に一礼して出てきた大瀧に高橋さんは
「重尾の忘れものだ。よっぽどあわててたんだろう」
とジップロックに入ったスマホを見せた。
「シゲの・・・シゲはどうしましたか?」
「消えた。カメラとカメラの隙をついて消えた。おそらく拉致されている。足取りは全くわからん」
「そんな・・・」
「一刻を争う。説明しても埒が明かない。本署にだけはどうにか状況を伝えているが、動けるのは俺たちだけだ。本署で装備を調達してる。花屋に急ぐぞ」
「了解です」
すっかり夕闇が深い。街灯がつき始めたころ間。警察署を出て、駐車場まで歩き始めた時だった。交差点に停車している白い軽トラックを何気なく見た大瀧は
「高橋さん!!」
と叫んだ。車の車体には『Blanca Nieves』と、あの花屋の名前が書かれていた。
「よし、引きずりおろせ」
小瀧は車の前に飛び出した。
車を運転していたのは濱井だった。中田所長のところでコーヒーを飲んだ後に上機嫌でニエベスに戻るところだった。濱井が運転席から顔を出して怒鳴った。
「ちょっと! 何やってんだよ! 危ないだろ!」
そこを高橋と大瀧が引きずり出した。
「大瀧、この車を駐車場に回せ。これで花屋に行く。警戒されにくいだろう」
「了解です」
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