重尾

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重尾

1  ☆    ☆  ずっと見つめられていたなあ。 ホテルに戻ってベッドに横たわりながら、重尾はさっき別れたシラユキの事を思い出していた。 二人でアイスクリームを食べていたときはずっと目を伏せていたのに、別れて歩き始めたらシラユキはずっと重尾の背中を見つめていた。なかなか熱かったな。背中が焦げそうだ。 監視カメラの向こうから俺を見ていたのもあの子だろう。同じ質の熱さだった。軽率に視線を合わせてしまって、我ながらヒヤッとしたけど、今回は吉と出たのかもしれない。あんな風に見つめられるのは悪くない。いや、もうちょっと正直になろう。あの子から熱く見つめられて、とてもうれしい 距離的に視線が切れる寸前で、重尾は振り返って花束を高く差し上げた。シラユキが全力で手を振るのが見えた。表情が読み取れる距離ではないが、素晴らしい笑顔が想像できた。 かわいい子だ。 あの子が目標物でなければいいのだが。 重尾は警察官だ。 二週間前、捜査一課の高橋さんから呼ばれた。以前は上司だった人だ。厳しかったが面倒見のいい人だったから、また話ができるのはうれしかった。 「お呼びでしょうか」 「重尾,入れ」 「失礼します」
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