重尾

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3  ☆   ☆ 高橋は、重尾の顔をじっと見た。 「重尾、次に、当該映像の周辺を見ろ。この女がキスしたと思われるとき、周りの人間の視線はどうだ」 「まったく外れていますね」 「その通り。次に、この直前直後の、周辺に設置された防犯カメラの映像だ。見ろ。キステロ女は後頭部どころか爪の先すら映っていない。 つまり彼女は、カメラの視線、周囲の人間の視線をすべて読み切って行動している。唯一、個人が秘密に設置したカメラだけは把握できなかった。どういうことだと思うか」 「・・・カメラの位置を知っていた、カメラにどう映っているかも把握していた」 「そういうことだ。しかし、可能だろうか」 「分かりません。でも、俺向きだというのは分かります。」 重尾はにこりと笑った。 キステロ女が映りこんでいた画像は、盗撮されたものも含めて3枚。 画像の場所、及びその周辺をしらみつぶしに行くしかない。雑多な人間が行きかう場所、訳ありの人間が一見何気ない風を装うことができる場所。まずは観光地から攻めようと思ったが、早々にヒットいたのかもしれない。 俺は自分の勘を賞賛すべきなんだろうけど・・・ 重尾はベッドの上で寝返りを打った。 でも、あの子じゃなければいいな。
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