38人が本棚に入れています
本棚に追加
/189ページ
3 ☆ ☆
高橋は、重尾の顔をじっと見た。
「重尾、次に、当該映像の周辺を見ろ。この女がキスしたと思われるとき、周りの人間の視線はどうだ」
「まったく外れていますね」
「その通り。次に、この直前直後の、周辺に設置された防犯カメラの映像だ。見ろ。キステロ女は後頭部どころか爪の先すら映っていない。
つまり彼女は、カメラの視線、周囲の人間の視線をすべて読み切って行動している。唯一、個人が秘密に設置したカメラだけは把握できなかった。どういうことだと思うか」
「・・・カメラの位置を知っていた、カメラにどう映っているかも把握していた」
「そういうことだ。しかし、可能だろうか」
「分かりません。でも、俺向きだというのは分かります。」
重尾はにこりと笑った。
キステロ女が映りこんでいた画像は、盗撮されたものも含めて3枚。
画像の場所、及びその周辺をしらみつぶしに行くしかない。雑多な人間が行きかう場所、訳ありの人間が一見何気ない風を装うことができる場所。まずは観光地から攻めようと思ったが、早々にヒットいたのかもしれない。
俺は自分の勘を賞賛すべきなんだろうけど・・・
重尾はベッドの上で寝返りを打った。
でも、あの子じゃなければいいな。
最初のコメントを投稿しよう!